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LITECO掲載「物語の中身とは」を読んで

LITECOに掲載された「物語の中身とは」を読んで、考えるところ。
「物語の中身とは」については、こちらかどうぞ。
LITECO/物語の中身とは



中身のある/ない というような考え方は、そのまま物語が面白いかどうかにつながってくるように思う。もちろん、中身があるから面白い、というわけではないだろうが、基本的には、中身のあるものを面白いというのではないだろうかと思う。素人が書いてプロットが練りこまれていない小説よりも、宮部みゆきの上質な推理小説の方が、読んでいて面白いのは自明のことであろう。

もちろん、一見すると中身がないような小説もある。僕はカフカの『城』を読んだのだけれど、あれに中身があるとは思えない。もちろん、あくまでも僕は。その深層の方に中身があり、それを読み取れれば面白いのかもしれないけれど、それを読み取れない僕にとってはあまり面白いものではなかった。

しかし、そういえば音楽の歌詞って意味がないものが多いよなあと思っていて、そうすると、僕はなんであれを面白がって聴いているんだろうと不思議になります。もちろん、曲自体が良いからというのもありますが、訳が分からないけれど言語センスが良いから好きみたいなところはありますよね。

それから、不条理演劇って中身があるとは言えないはずなんですけど、面白い演出家さんだと非常に面白い。先日、雨傘屋さんのイヨネスコ「禿の女歌手」を観劇してきたのですが、とても面白かったです。

そうすると、中身がないからといって面白くないというわけではない。というか、芸術はそうあってはならないという風に思うんです。

それから、中身がない小説の例示がなされていないので(しづらいと思います)、何とも言えないところがあるんですよね。そこに中身があるのに、自分がそれを発見できず、結果的に中身がないという結論に至ったのかもしれない。あまりこういう論は好きではないのですが、文学から何かを読み取るためには、やはりある程度の経験とかスキルがいるような気がしています。エンタメ小説は、そういうことを排するのが使命なのですが、純文学系はそれを隠すことがある種美学であるよな気もして。

まあ、結局のところ、その小説に中身があるかないか、面白いか面白くないかというのは、他人によるといった方がよさそうです。これを言っちゃうとおしまいな気もするんですが……。

でも、皆違ってみんないいということこそ、文学や文化の真の姿であると思うんですよね。もちろん、影響力の大きいものだけが残っていくわけですが。


だいたいこんなところですかね。この論考は、なんだかもっと掘り下げることができる気がしています。
何か意見などありましたら、コメント欄にお寄せいただけると幸いです。
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