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アーティスト自体を好きになる人と、ある曲だけを好きになる人の違いは何か? 「人間は物語に恋をする」

先日、友人と話していると、彼が次のような趣旨のことを言っていました。
「自分は特定のアーティストを好きになるわけではなく、曲を好きになるのだ」

この意見に、僕は少なからず同意するところがあります。
具体的な例は出しませんが、僕にもある曲だけが好きだけれど、そのアーティストの他の曲は好きになれないということは多々あります。
しかし、それでも僕はBUMP OF CHICKENやアーバンギャルなどのバンドが楽曲を出せば、それがどんな曲であろうとも僕はそれを必死で聴くことになるだろうと思うのです。

もちろん、BUMP OF CHICKENやアーバンギャルドが僕好みの良い楽曲を作っていることは確かです。しかし、その楽曲を果たして他の人たちがつくっていたのかと訊かれれば、疑問符がついてしまうような曲も多くはないですが、存在しています。でも、僕はそれでも曲を聴く。そして、そこに意味づけをしていく。このバンドが、この曲を出した意味。そうすることによって、僕はその曲に価値を与えているような気がするのです。

「物語に恋をしている」。そう言いたいと僕は思っています。そして、その物語とは、ここで言うならばそのアーティストなりバンドなりのことを指します。
価値づけという好意は、愛によって生まれるのではないでしょうか? 
例えば、付き合いたてのカップルは本当に純粋に相手のことが好きだから、いいところしか見えないから付き合うという契約が成立しています。しかし、これが時間が経ってくると、相手の悪いところも目についてきて、どうしてこの人と一緒にいるのだろう? と思うこともあると思います。ここでも大事なのは物語で、やはり過去のことを考えると別れ難くなるし、未来もその人とと一緒にいることを考えて「悪くないな」と思うことができれば、関係は続くのです。

つまり、あるアーティストを好きだということは、曲が好きだということと決してイコールではない。「今回はこんな曲をつくってしまったけれど、まだまだ応援しているよ!」なんて気持ちになると思う人がいる。そして、そんな曲を作ってしまったアーティストに対して同情をする。ネットで叩かれているのを見て、激昂する。それはやはり、アーティストというひとつの連続した物語に恋しているからこそ可能なことだと思うんですよね。

物語は過去であり、未来であり、また現在でもあります。人は持続性のあるものに惹かれるのですかね……。
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