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未完の遺作 太宰治『グッド・バイ』を読んだ

グッド・バイ (新潮文庫)


こんにちは、あとーすです!
グッド・バイ。この言葉には何か強い意思がこめられているように思います。グッバイではなく、グッド・バイ、というのは時代的な言い方というものもありましょうが、一つひとつの音を丁寧に発音しているところに何やら強い響きを感じるのです。

しかし、遺作が「グッド・バイ」とは凄いじゃないですか。
ということは、安吾が「不良少年とキリスト」の中で言っていることでもあるんですけれどね。彼の生き方は、本当に最後はコメディアンに近かったといえるのではないでしょうか。

さてこの作品、「未完」と言われていますが、実際にはほとんど物語が進んでいないと言っても良い。青空文庫で読んでいたのですが、その感覚としては、短編くらいの長さしかないような印象を受けました。

そもそもこの物語、十人程度いる愛人に別れを告げにいくという物語なのですが、太宰は二人目の女に会いにいく直前で命を絶ってしまっているのです。もう、本当に序盤なのですよ。
ただ、太宰としては十人全員に別れを告げる前に何かしら行動を起こさせようという魂胆があったのではないかという気もしますけれどもね。

比べるのも変な話ですが、漱石の未完の遺稿『明暗』は甚だ長い。僕は『行人』を読んですら長いなあと思ったのに、明暗は終わっていないくせに長い。長いゆえに、実はまだ読んだことがないんですけどね…いや、お恥ずかしい。

しかし、太宰の描く男性がこれほどまでに女性に敗北した作品って他にないのではないでしょうか? といって、僕の浅い読書経験で判断するのは早計かもしれませんが…。少なくとも、『人間失格』では、女性にかなわないとは言いながらも、敗北することはなかった。他の作品でも、女性の凄いところにスポットライトが浴びせられても、「負ける」ということはなかったように思います。

まあ、この辺は太宰の著作を全て読破してからまた論じてみたいところですね。

グッド・バイ (新潮文庫)
太宰 治
新潮社
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