忍者ブログ
あとーすログに引っ越しました!

LiteraTech風見鶏

Home > ブログ > > [PR] Home > ブログ > 文学 > 日本怪談文学の逆輸入 ラフカディオ・ハーン『怪談』を読んだ

日本怪談文学の逆輸入 ラフカディオ・ハーン『怪談』を読んだ

みなさんこんにちは、あとーすです!

今回はラフカディオ・ハーンの『怪談』を読みました。
ハーンは僕の住んでいる熊本とも非常に縁の深い人物であります。その昔、熊本大学の前身である第五高等学校の講師として教鞭をとっていたんだとか。

さて、そんなハーンは、日本の怪談文学を語る上では欠かせない存在ということができるでしょう。この著『怪談』は日本の古典文学に題材を求めた翻案小説だということができます。その話の長短は様々で、僕から見れば、完成度も様々といった感じです。

昔聞いた事もある話も多く含まれていました。例えば、最初の方に出てくる「耳なし芳一のはなし」だったり、「おしどり」だったり。僕は、これをハーンの怪談として聞いた事があるのか、はたまた原話として聞いた事があったのか…。


さて、僕がこの短編集の中で一番気に入った話は「安芸之助の夢」でした。
中国の古典、邯鄲の夢を彷彿とさせる内容でした。邯鄲の夢は、他の呼び方として胡蝶の夢という言い方もします。「安芸之助の夢」で出てくるのは蟻ですが、ハーンはこの『怪談』の後半部で蝶と蟻についての考察を虫の研究編として記しており、なにやら関連が感じられます。少なくとも、ハーンが蟻に何か人間以上のものを感じとっていたからこの話が書けたのだということはわかりました。ただ、これは日本語でいう「怪談」とはやや離れた内容だったかなとも思います。もちろん、「怪談」の定義が広いか狭いかによるところなのでしょうが。まあ、一目見てわかるように分類するならば、「奇談」の方がしっくりくるような気もします。

「怪談」とはっきり分類することのできるものは、日本人に馴染みの深い(?)ろくろ首やのっぺらぼうの話がありました。


と、つらつらと感想を書き連ねると、ざっとこんな感じでしょうか。
また詳しい考察をしてみたいと思うのですが、そのためにはまず翻案のもとになった原話を読まなければならないなあと思います。

ところで、ハーンの著作を日本語訳で読むというのは何か奇妙な感じがします。
だって、もともと日本語で書かれたものをハーンが英訳し、それをまた邦訳して僕たちが読んでいるのですから。

もちろん、ハーンの書いた作品は単なる翻訳ではなく、換骨奪胎した翻案ということができるでしょう。しかし、それにしてもここには奇妙な逆輸入的現象が起こっているということができるでしょう。

はてさて、ハーンの文学は日本文学と位置づけるべきなのか、それとも英米文学と位置づけるべきか。まあ、どちらにも属するというのが適切なのでしょうかね。
PR

Comment0 Comment

Comment Form

  • お名前name
  • タイトルtitle
  • メールアドレスmail address
  • URLurl
  • コメントcomment
  • パスワードpassword